← 一覧へ戻る施術情報

レーザートーニング vs ピコトーニング vs 532nm

肝斑はトーニング、そばかすとシミは532nm。色素の種類で選びます。

💡 ひと目でわかる要点
· レーザートーニングは、1064 nmのナノ秒レーザーを弱い出力で何度も照射し、肝斑を少しずつ薄くする施術です。
· ピコトーニングは同じ方法でパルスを約1,000分の1に短くしたものです。肝斑での色素改善は通常のトーニングと統計的な差がなく、痛みはより少ないと報告されています。
· Vレーザー532 nmは表皮の色素に強く吸収されるロングパルスレーザーで、そばかすとシミを1~3回で除去するのに使います。
· 一言でいえば、肝斑=トーニング(通常またはピコ)、そばかす・シミ=532 nm、混在していれば肝斑から。
· 違いの核心は「どの深さの、どの色素を、どれだけ強く狙うか」です。

3つの施術が紛らわしい理由

いずれも「色素レーザー」と呼ばれ、同じ日に組み合わせることもあります。しかし波長とパルスの長さが違うため、届く深さと強さが異なります。肝斑向けのレーザーはそばかすには弱く、そばかす向けのレーザーは肝斑を濃くすることがあります。

レーザートーニングとは?

レーザートーニング(laser toning、레이저토닝、激光净肤、low-fluence Q-switched Nd:YAG)は、1064 nmのQスイッチNd:YAGレーザーを低出力で顔全体に繰り返し照射する施術です。メラノサイトを壊さず、細胞内のメラニン顆粒だけを選択的に砕きます。

Leeら(2022年、Medicina)は42件、患者1,736人の研究をまとめました。多くは1~2週間隔で5~15回(通常9~10回)行い、主観的・客観的指標の両方で改善がみられました。表皮を傷つけないため、ダウンタイムがほぼない点が最大の利点です。

限界も明確です。

  • 再発:治療終了3か月後の再発率が64%、81%と報告された研究があり、1年の追跡では34人中20人が再発しました。
  • まだらな白斑(脱色素斑):ある後ろ向き研究では、10回以内の施術を受けた177人中21人(11.9%)に生じました。高出力、短い間隔、過度な回数が危険因子です。

ピコトーニングとは?

ピコトーニング(pico toning、피코토닝、皮秒净肤、picosecond laser toning)は、パルスをナノ秒からピコ秒に短くしたレーザーで行うトーニングです。1064 nmのNd:YAG方式と755 nmのアレキサンドライト方式があります。パルスが短いほど熱よりも衝撃波で色素を砕くため、周囲の組織に残る熱が少なくなります。

理論上は肝斑に有利に見えますが、臨床結果は分かれています。

  • Hongら(2022年、Journal of Dermatological Treatment)のスプリットフェイス研究では、1064 nmのピコトーニングと通常のトーニングで色素改善に明確な優劣はありませんでした。
  • Journal of Cosmetic Dermatologyに掲載された無作為化二重盲検試験(アジア人女性16人、4週間隔で3回)でも肝斑スコアの差は有意ではなく、初回の痛みはピコ側が低い結果でした。
  • Leeら(2018年、Lasers in Medical Science)は、755 nmのピコレーザーが3か月時点でより早く良好な改善を示したと報告しています。

肝斑以外の色素病変では差がより明確です。Ungaksornpairoteら(2020年、Dermatologic Surgery)の研究では、6か月後に50%以上改善した割合はピコ85.7%、Qスイッチ57.2%でした。

Vレーザー532 nmとは?

Vレーザー(V-Laser、브이레이저、long-pulsed KTP 532 nm)は、532 nmと1064 nmの2波長を備えたロングパルスNd:YAGレーザーです。532 nmはメラニンとヘモグロビンの両方によく吸収され深くまで届かないため、表皮のそばかす・シミと浅い血管(赤み、毛細血管拡張)に使います。サファイアの接触冷却で表面を冷やしながら照射します。

同じ532 nmでもパルスの長さで肌の反応が変わります。ロングパルスはエネルギーをより長い時間に分けて伝えるため、表皮への負担が穏やかです。

施術後は病変が一時的に濃くなり、薄いかさぶたができて1週間前後で剥がれます。トーニングと違いダウンタイムがあります。

比較表

比較項目レーザートーニングピコトーニングVレーザー532 nm
レーザーの種類QスイッチNd:YAGピコ秒Nd:YAGまたはアレキサンドライトロングパルスKTP
波長1064 nm1064 nmまたは755 nm532 nm
パルス幅ナノ秒ピコ秒ミリ秒
作用低出力でメラニン顆粒だけを選択的に破壊熱より衝撃波で色素を粉砕表皮のメラニンと血管が熱を吸収
届く深さ真皮まで真皮まで表皮~浅い真皮
主な適応肝斑、全体のトーン肝斑、シミの混じるくすみ、真皮の色素そばかす、シミ、赤み・毛細血管
回数の目安1~2週間隔で10回前後2~4週間隔で複数回1~3回、4週間以上の間隔
ダウンタイムほぼなしほぼなしかさぶた1週間前後
痛みチクチクする通常のトーニングより少ないとの報告チクチクする、冷却併用
注意点過度な回数でまだらな白斑過度な回数で色素異常肝斑部位に使うと悪化、炎症後色素沈着
費用要相談要相談要相談

どの施術が合うか

肝斑が主な悩みならトーニングです。 色素改善だけを見ると、通常のトーニングとピコトーニングに根拠上の明確な優劣はありません。痛みに敏感な方やシミ・毛穴も一緒に改善したい方はピコ、最も根拠の蓄積した方法を望む方は通常のトーニングが向いています。どちらでも、やりすぎないことがより重要です。

そばかすとシミが悩みなら532 nmです。 表皮の色素は、トーニングを何十回も重ねるより532 nmで1~2回正確に狙う方が効率的です。1週間ほどのかさぶたを受け入れる必要があります。

混在しているなら肝斑からです。 肝斑のある部位に532 nmを強く当てると肝斑が濃くなることがあります。Leeら(2022年)の総説で引用された研究では、肝斑にQスイッチ532 nmを使った群の色素異常は27.5%で、低出力1064 nmトーニング群(4.8%)より多い結果でした。

頬骨の青灰色の点(ADM)は別物です。 真皮深くの色素のためトーニングや532 nmでは届かず、高出力の1064 nmレーザーを複数回行う必要があります。

相性のよい組み合わせ

  • トーニング+内服薬・外用薬:Leeら(2022年)の総説では、トラネキサム酸の内服を併用した群がトーニング単独より肝斑スコアを大きく下げました。薬は医師の処方と確認が必要です。
  • トーニング+血管レーザー:Kongら(2018年、Annals of Dermatology)の研究では、拡大鏡で血管拡張が見える肝斑患者は、血管レーザーを併用した側がより改善しました。血管が見えない患者では差がありませんでした。
  • 肝斑安定後の532 nm:先に肝斑を落ち着かせ、残ったそばかす・シミだけを532 nmで整えます。

DIOREの色素治療

韓国のDIOREクリニックの臨床では、色素の種類によってセッションの組み方を変えています。

肝斑にはトーニング、そばかすとシミには532 nmというように色素に合うレーザーを選び、回数と間隔も色素ごとに決めています。

よくある質問(Q&A)

Q1. 肝斑には通常のトーニングとピコトーニングのどちらが良いですか?

色素改善の効果は同程度です。1064 nm同士を直接比較したスプリットフェイス研究では肝斑スコアの差は有意でなく、痛みはピコの方が少ない結果でした。痛みへの耐性と、あわせて改善したい悩み(シミ、毛穴)で選べます。

Q2. トーニングを10回受けたのに肝斑が戻ってきました。なぜですか?

肝斑は色素だけでなく、真皮の血管や基底膜の損傷も関わる慢性疾患のため、色素を減らしても原因が残れば再発します。治療終了3か月後の再発率が60~80%と報告された研究もあります。紫外線対策、薬の併用、間隔を空けた維持治療が必要です。

Q3. そばかすのレーザー後、かさぶたは何日続きますか?

顔では通常1週間前後で剥がれます。無理に剥がしたりこすったりすると色素沈着が残ることがあるため、自然に取れるまで待ち、その間は紫外線対策を徹底します。

Q4. トーニングを長く続けると肌が白くまだらになるというのは本当ですか?

まれですが実際に報告されている副作用です。ある研究では10回以内の施術で11.9%に生じ、高出力、短い間隔、過度な累積回数が危険因子でした。回復に数年かかることがあり、起こさないことが大切です。

Q5. シミを取った部分がかえって濃くなりました。失敗ですか?

炎症後色素沈着の可能性が高いです。アジア人の肌では表皮色素レーザーの後に起こることがあり、通常は数か月かけて薄くなります。その間は紫外線対策を行い、必要に応じて美白外用薬の処方を受けます。

まとめ

色素レーザーは「どの機器が優れているか」よりも「自分の色素が何か」で決まります。肝斑には弱く何度も、そばかすとシミには正確に1~2回が原則で、混在していれば肝斑が先です。お顔の色素の構成と順序は、カウンセリングでご案内します。

あわせて読みたい記事

ℹ️ 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診療に代わるものではありません。肌の状態により結果は異なります。正確な診断とご相談は、美容医療の専門医療スタッフにお尋ねください。

参考文献

  • Lee YS, Lee YJ, Lee JM, Han TY, Lee JH, Choi JE. The Low-Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Treatment for Melasma: A Systematic Review. Medicina. 2022;58(7):936. doi:10.3390/medicina58070936
  • Hong JK, Shin SH, Park SJ, Seo SJ, Park KY. A prospective, split-face study comparing 1064-nm picosecond Nd:YAG laser toning with 1064-nm Q-switched Nd:YAG laser toning in the treatment of melasma. J Dermatolog Treat. 2022. doi:10.1080/09546634.2022.2033674
  • Comparison of 1064-nm Picosecond and Q-Switched Nd:YAG Lasers for Melasma in Asian Women: A Randomized Double-Blind Split-Face Trial. J Cosmet Dermatol. doi:10.1111/jocd.71008
  • Lee MC, et al. A split-face study: comparison of picosecond alexandrite laser and Q-switched Nd:YAG laser in the treatment of melasma in Asians. Lasers Med Sci. 2018. doi:10.1007/s10103-018-2529-2
  • Ungaksornpairote C, Manuskiatti W, Junsuwan N, Wanitphakdeedecha R. A Prospective, Split-Face, Randomized Study Comparing Picosecond to Q-Switched Nd:YAG Laser for Treatment of Epidermal and Dermal Pigmented Lesions in Asians. Dermatol Surg. 2020.
  • Choi CP, Yim SM, Seo SH, Ahn HH, Kye YC, Choi JE. Retrospective analysis of melasma treatment using a dual mode of low-fluence Q-switched and long-pulse Nd:YAG laser vs. low-fluence Q-switched Nd:YAG laser monotherapy. J Cosmet Laser Ther. 2015;17:2-8.
  • Kong SH, Suh HS, Choi YS. Treatment of Melasma with Pulsed-Dye Laser and 1064-nm Q-Switched Nd:YAG Laser: A Split-Face Study. Ann Dermatol. 2018;30:1-7.
디오레의원 医療チーム
美容医療
医師紹介 →